症例報告
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自分の声が響く、低い音が聞き取りにくい…『低音障害型感音難聴』と診断されたケース

主訴

低音障害型感音難聴

問診

『低音障害型感音難聴』と診断されたのは約7ヶ月前。

病院で治療を受け続けており、治ってはきている。
しかし残りの3割くらいが中々取りきれない。
耳のつまり感や、電車や車に乗った時、歩行時に低音の耳鳴りを発症する。

自分の声すらも耳に響いてしまうのでとてもストレスである。

毎回薬だけ処方されて終わってしまい、正直打つ手がない。

以前から難聴や耳鳴り、春先になると毎年どこかしらの体調を崩す事はあった。

日常的に肩コリや頭痛、眼精疲労はあるので身体のケアは限界に達するとマッサージなどで対応している。
しかし今回のように長期に渡り長引くのは初めて。

調べている内に国立おざわのHPを見つけ、ご来院となりました。

視診・触診

咀嚼筋(そしゃくきん)の張りにて顔の輪郭に左右差あり。
左側のエラが張っている。

うつ伏せ時に首が右に回旋しているが本人は真っ直ぐうつ伏せになっているという自覚。

それぞれの筋肉が触察しにくい程に緊張が強く、筋肉同士の溝が触察しにくい。(筋浮腫)

治療

治療筋
僧帽筋
頭半棘筋
頭板状筋
胸鎖乳突筋
肩甲挙筋
後頭下筋群
咀嚼筋

メインの治療筋↓
乳様突起に付着する筋肉…頭板状筋、胸鎖乳突筋
トリガーポイントの宝庫…胸鎖乳突筋

耳疾患に関わる細かい咀嚼筋…咬筋、側頭筋、内側翼突筋、外側翼突筋

1〜4回目
大きい変化は無いがなんとなく難聴が治る気がする。
加えて肩コリや目の疲れ等が改善してきている。

5回目
1週間耳鳴りが無い。

6回目
耳鳴りはあるがほんの一瞬。
あまり気にならない事の方が多い。

8回目
だいぶ良い。

10回目
週に1回一瞬鳴ったくらい。
その後数回治療し完治とする。

現在は元々ある肩こりや眼精疲労、頭痛のケアも含め月に数回の治療をしている。

まとめ

低音障害型感音難聴の本質とは


低音障害型感音難聴は漢字が9個並んでいますが、『何かしらの原因で』低音が聞こえにくくなっていますよ…という症状です。

突発性難聴も耳鳴りも同じく、聴力関係の症状は『何かしらの原因』が一体何なのか?…を見極めることが大事です。

耳の障害の多くは『首』が関わっています。

今回のケースでは、うつ伏せになった時の無自覚な首の回旋(首のトリガーポイント内在筋を伸ばしている)…という視診で『乳様突起に付着する頭板状筋と胸鎖乳突筋に注目した』というのが解決のポイントその①でした。
そして、耳疾患の症状の場合は咀嚼筋(そしゃくきん)という噛む筋肉のトリガーポイントが関わることが多く、患者さんの顔面非対称性に注目した所も解決ポイントその②でした。

首のトリガーポイントは出来る部位により耳鼻咽喉科疾患を引き起こします。

西洋医学では耳の症状が出た時に『耳に炎症があるのかもしれない』というのが基本的な考えになります。
突発性難聴などでステロイド薬を処方(または点滴)し、改善が無ければビタミン剤…漢方薬…という流れに辛い思いをしている人が多いです。

そもそも漢方薬というのは、『この症状にはこれ』『この病気にはこれ』…というものではありません。
本来であれば、患者さんの『証』を立て『その人だけのオリジナルの調合』が必要なものです。

現代社会、不定愁訴が多いです。
西洋医学ではなかなか治らない症状が多いです。
本気で、治すつもりで漢方を処方しているのか。
首から上の症状は、人間辛いんですよ。

私は簡単な漢方薬を処方するところには疑問を持っています。
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