症例報告
症例報告
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『頚肩腕症候群』首から腕にかけての痛みと痺れと冷たい感覚

主訴

頚部の痛み & 前腕までの痛みと痺れ & 冷感

問診

2週間前からの症状である。
これといった原因もなく徐々に痛みが強くなり首を動かせ無くなった。発症当初は痛み止めが効かず夜は寝返りもうてなかった。

そのせいで眠りも浅く疲れが溜まっている。
徐々に痛みと痺れが増している為不安になり整形外科へ。

「頚椎の5・6番が少し狭いかもしれない…」
「頸肩腕症候群かな…」

と、診断を受けた。

ただ、
画像診断で変形が無い為よく分からないとの事。
頚椎カラーと湿布痛み止めを処方された。

頚部から前腕にかけて痛い。
前腕から中指にかけては痺れている。
前腕から指にかけて冷感があり、
温めても変わらない。

当初から比べると痛み止めを服用すると、なんとか眠れるようにはなっている…が、治っている感覚は無い。

実は半年前くらいにも同じような痛みを発症した。
しかし比較的すぐに治ったので今回も治ると思っていた。

以前からコリを感じたときには時々整体に行ってマッサージを受けていた。

首だけでなく全体的に歪んでいると思う。
2週間も仕事を休んでいるが治りが悪い。
いい加減仕事復帰をしたい。
このままではマズいと感じWEB検索。

『ここだ!』と思ったようで、来院となりました。

視診・触診

首を少しでも動かすと痛いので全部の動作がゆっくり。

前後側屈・回旋不可。
頚部浮腫。(特に後頚部)
右の胸鎖乳突筋が過緊張状態にある。

頚部右側の皮膚緊張が強く軽い触察でも痛い。
うつ伏せの状態にて頚部が右に傾いている。

治療

画像診断にて明確な異常が見られない場合、
注目すべきは筋肉に形成されたトリガーポイントによる疼痛です。

異常が診られても『その痛みと痺れはそこではないかもしれない』と思うことも大事です。

トリガーポイントが活性化することで様々な症状を発症させることは、
西洋医学ではEBMが無いため認知度が低いです。

頸肩腕症候群というのも総称であり、首から肩腕にかけて痛みや痺れがあるとそのように診断されます。

治療部位

僧帽筋、肩甲挙筋、胸鎖乳突筋、頭半棘筋、棘下筋、総指伸筋

治療経過

頚部痛、前腕〜中指までの痛みと痺れ・冷感の原因となっている筋肉にできたTPを除去すべく治療を開始。

初回は痛覚過敏状態であり浮腫みも酷かった。
鍼の響きも鈍かったが2回目以降からしっかりと響きを感じるようになったのが印象的な症例でした。

1回目
10→6。
治療直後からかなり軽くなった。
夜は良く眠れた。

2回目
少しずつだが治療開始前と比べると格段に楽になっている。
まだ首を動かすのは怖い。

3回目
6→4。
頚部の痛みはほとんどなくなってきている。
肩甲間部から腕にかけてが痛い。
痛みが移動している感じがする。

5回目
頚部の痛みがほとんど消失。
前腕部の痛み痺れ冷感も軽減している。
4→2

6回目
ほぼ改善。
頚椎カラーをしなくても生活できる。

7回目
完治。
問題なく日常を過ごす事ができ仕事にも復帰。

凝りの自覚が鈍いことを自覚したとのことで、
現在は全身治療を週一回の頻度で定期的に行っている。

まとめ

コリの自覚が鈍いことを自覚することも大切です


特に『働く女性』に多いのですが、
凝りに対する自覚が鈍い人がいます。

今回のケースでは『疼痛と痺れ』…という症状が徐々に出てきた症例でした。

脳は『疼痛』が出ると『筋肉が悪いのではないか?』と思いやすいのが救いです。

しかし、
『自律神経症状』…がドカンと出てくる症例もたくさんあります。

ここでいう自律神経症状というのはいわゆる『不定愁訴』とよばれるものです。

不定愁訴は組み合わせにより様々な診断名に変わります。

自律神経症状の場合は、
『筋肉が悪いのではないか?』と思いにくいのが厄介なポイントです。

今回のケースでは『疼痛&痺れ』が出たため筋肉が悪いのではないか…に辿り着きました。

実は疼痛や痺れも、『自律神経が乱れることにより痛覚過敏状態になる』…ということも珍しくありません。

急に身体が痛くなったり、急に手足に痺れが出てきたりするのも自律神経による痛覚過敏状態であるという知識を持つだけで治療すべきポイントは変わってきます。
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