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『首コリ治療が日本を救う』

トピックス『首コリ治療が日本を救う』
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第3章:不定愁訴大国ニッポン

不定愁訴とは漠然とした身体の不調を言います。慢性疲労症候群やストレス症候群、パニック障害、うつ症状、むち打ち症、更年期障害、息切れ、発汗、めまい、耳鳴り、微熱、かすみ目、疲れ目、ドライアイ、微熱、不安感、イライラ、集中力低下などなど数えればキリがありません。

 この様に症状はあるけれど、原因がハッキリ見つからないものである不定愁訴が現在爆発的に増えています。病気として扱われ、治るかわからない薬を処方され、様子をみて下さいと言われる。それらの症状が良くなることは少ないでしょう。
 多くの不定愁訴は、首コリが原因になっている事が多いのです。

 これらの症状は病気ではありません。あくまで症状なのです。
 メマイを例にとると、メマイ病という病気はありません。メマイという症状なのです。頚部の側部にある肩甲挙筋という筋肉は肩甲骨から頚部に付着している筋肉なのですが、この筋肉に頑固なコリが出現すると、頚性メマイという首コリが原因の症状になります。

 全ての不定愁訴に頚性○○という形で名前を付けても良い位、首のコリが関わっています。
たくさんの臨床数を診ていると、首のコリを治療する事により治る症状が山ほど存在する事に気が付きます。
首の筋肉に形成されたコリは、痛み以外にも不定愁訴として不確定な症状を出す事があるのです。それらの凝った筋肉を、一筋一筋治療する事により、様々な症状が緩和されていきます。

鍼治療で改善がみられる代表的な疾患をご紹介します。

●頚性頭痛

近年スマホやPCなど、日常的に首に負担をかける様な情報機器が多くなりました。これに伴い頭痛が若年化しており、小学生や中学生でも頭痛が起こる事が少なくありません。

 患者様の中に、毎日ロキソニンを服用して頭痛症状を抑えている子供もいました。当然良い治療とは言えません。その子は3回の首の鍼治療で、頭痛そのものが無くなりました。

 PCやスマホなど、うつむく動作が日常的になると、通常前弯している頚椎が後弯してきます。これがストレートネックです。レントゲンでストレートネックを判断する医師もいますが、触診ですぐに分かるにもかかわらず、安易にレントゲンを取るのは医療費の無駄です。ストレートネックも触診で分からない医師に首を診てもらおうとは、私が患者であれば思いません。

 特に首こりが蔓延している現代社会にとっては若年期からのうつむき症候群により頚椎は前弯を失いストレートに変化していきます。よく『ストレートネックを治したい』というお問い合わせを頂くのですが、ストレートネックは治りません。

 実際に症状を出しているのは骨格の異常ではなく、骨格の異常により凝り固まってしまった首の筋肉が原因です。レントゲンなどで検査した事がある人は画像としてストレートネックが印象的になり、現在の痛みとストレートネックを結び付けてしまっている事が多いのですがそれは間違いです。首の筋肉に形成されたコリを取り除けば、症状は消失します。

●高血圧症

高血圧症で薬を飲んでいる人は少なくありません。
高血圧は1 本態性高血圧と 2 二次性高血圧に分けられ、8割の高血圧の患者様は1の原因不明の本態性高血圧症なのです。二次性高血圧はいわゆる『○○病になったから高血圧になった』というものです。腎疾患などで起こります。
高血圧症の8割を占める本態性高血圧は、西洋医学では『原因不明』なのです。原因不明にも関わらず、血圧が高ければ降圧剤を毎日服用します。服用すれば血圧が下がります。高血圧症の怖い所は、様々な疾患の危険因子になるところです。
 しかしながら薬を服用すれば血圧は安定する為、高血圧の原因は一体何なのかを重要視しない...という事が少なくありません。

 肩こりや首コリの鍼治療を行っていると、自然に血圧が下がってくる事があります。血圧が下がり、薬を飲まなくなったという声を多く聞くのです。
 これは一体、どうしてなのでしょうか?やはり首コリや肩コリが、高血圧の原因となっているという事です。
 西洋医学は『コリ』が引き起こす症状の研究に熱心ではありません。コリが引き起こす症状というのは実は沢山あるのです。高血圧症もその一つです。しかしながら高血圧症を主訴として鍼治療を受ける方は多くありません。なぜならば首コリや肩コリで高血圧症になる方ほど、首コリや肩コリを感じていない人が多いからです。地道な作業になりますが、治療する側である私たちが、コリを見つけて『感じていない首のコリと肩のコリを治療すると血圧下がりますよ』と情報提供をしていく必要があるのです。

 鍼治療というのは、何に効果があるのか?という認知が乏しい治療方法でもあります。
 こちらから情報提供をして、鍼治療の有効性を認知して頂く努力をしていかなくてはならないと常 思うのです。

●IBS(過敏性腸症候群)

過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん、Irritable Bowel Syndrome, 通称:IBS)は、 主として大腸の運動および分泌機能の異常で起こる病気の総称です。
 検査を行っても炎症や潰瘍など目に見える異常が認められないにもかかわらず、下痢や便秘、ガス過多による下腹部の張りなどの症状が起こります。以前は大腸の機能の異常によって引き起こされる病気ということで「過敏性大腸症候群」と呼ばれていましたが、最近では、大腸だけではなく小腸にも関係することなどから、このように呼ばれています。
 消化器系というのは副交感神経機能で活動が亢進し、交感神経機能で活動が低下します。
ご飯を食べている時は交感神経が、ご飯を食べてホッとする時は副交感神経が優位に働きます。
自律神経が乱れるとIBSのような症状が出ます。IBSを発症している人は、IBSの症状だけではない事が多いです。お話を聞くと様々な自律神経症状を持っています。つまり自律神経機能を鍼治療で整えれば症状は緩和していくのです。鍼の刺激は、副交感神経機能を活性化させます。
 現代はストレス社会...交感神経緊張の時代です。交感神経緊張が続けば、身体に様々な不調が出現してきます。IBSは自律神経の乱れの一つが消化器系に出現してきたものです。つまり消化器系に目を向けるというより、自律神経に目を向けて治療を行わなくてはなりません。自律神経に最大に関わる頚部の治療を中心に行う事により症状が緩和していくという事です。

●更年期障害

更年期障害とはホルモンバランスの乱れが原因により身体的・精神的リズムの不調が生じる自律神経失調症状です。
 女性は特にホルモンバランスが崩れると体の各所に様々な症状が出現してきます。更年期障害になりやすい時期は、子供が成人したり、旦那様が退職したり、親の介護などが始まったりという生活リズムの変わる時期でもあります。最近では若い頃の無理なダイエットや食生活の乱れなどによって、30代の若年性更年期も増えています。
 当院には更年期障害の患者様が多くご来院されていますが、その多くは首の治療を行い自律神経の乱れを治し、その他気になる部位への局所的な治療によって改善する例が多くあります。
 更年期障害かな?...と感じた時に薬物療法ではなく、鍼治療で頚部の筋肉の治療を行う事により、多くの病気を予防できるのではないかと、私は思っています。

●動悸

『動悸がする』というのは病気ではなく、症状の一つです。
心臓などに基礎疾患が無く、心電図ホルダーを付け生活し、それでも異常が無い場合、不定愁訴とされる事が多くあります。
 私は、動悸には 1 背部の背骨際の筋(多裂筋や回旋筋)のコリが原因で起こるもの 2 首のコリや肩のコリが原因によって自律神経が乱れ起こるもの...の2パターンがあると考えています。
第3胸椎~第5胸椎棘突起直側の多裂筋にコリが形成されると、呼吸が深く吸えない症状や、動悸、不整脈、咳症状などが出現します。心臓神経症という意味不明な病名を付けられて苦しんでいる患者様も多くいます。それは背中や首のこりが原因なのです。
 長年咳の症状が出ている患者様も、背骨の際に出来るコリが原因です。背中の張っている状態が続くのに比例して、咳症状が続きます。
 頚部のコリが引き起こす自律神経の乱れから動悸が出る事もありますので、動悸の鍼治療=胸部多裂筋の鍼治療というイコール関係ではなく、ちゃんと首の調整をする必要性があるでしょう。

●PMS(月経前症候群)

月経(生理)が始まる3日~10日前から起こる症状をまとめて、「月経前症候群(PMS:premenstrual syndrome)」と呼びます。
 月経が始まると自然に治まったり、軽くなったりするのが特徴です。
  膨満感(お腹の張り)・腹痛・便秘・下痢・吐き気・頭痛・乳房痛・乳房の張り・腰痛・過食・食欲不振・肩こり・むくみ・めまい・肌荒れ・ニキビ・動悸・抑うつ症状・イライラ・不安感・集中力の低下・無気力・疲労・睡眠過多・不眠等、多くの不定愁訴が出現する疾患の一つです。PMSは様々な症状が出現する為、西洋医学でも今出ている症状に対してのお薬...という対処療法になっているのが現状です。
  PMS(月経前症候群)が起こる原因ははっきりしていません。ホルモンの影響と考えられてもいますが、そればかりではないようです。リラックスを心掛けましょうとよく紹介されていますが、それが出来ないのがPMSです。首にコリがあると、PMS症状が悪化する傾向があります。
 首のコリによる副交感神経の圧迫、そして交感神経の過緊張という自律神経の乱れにより、多くの不定愁訴が出現してきます。首のコリを取り、自律神経のバランスを調えることで、症状が緩和へと向かいます。また、最近ではPMS症状が悪化し、日常生活を普通に送れなくなってしまうPMDD(月経前不快気分障害)という言葉も知られるようになってきました。この場合は、必ず婦人科を受診しながらの鍼治療をお勧めします。

●むち打ち症

過去に首を大きく痛めたことがある人は要注意です。また、交通事故でのムチウチなども後々症状が出てくるので大変です。薬物療法や効かない電気治療などに頼らず、鍼で深部の痛んでしまった部分の治療をした方が良いでしょう。
 また、自転車競技・バイク・格闘技・その他スポーツにて首を痛めたことがある人も、後々症状が出てくることは珍しくありません。首は万病の元、適切なケアが必要です。ムチウチもひどい場合は脳脊髄圧減少症などの疾病の可能性もあります。必ず大きな外傷があった時は精密検査をした方が良いでしょう。

 転倒などによる受傷により、首の奥の筋肉にひっそりとコリが形成され、無症状のまま月日が流れ、ある日突然症状が出てくることは珍しくありません。そうした眠っていたコリはストレス・気候の変化・虚血・寒冷刺激などにより活性化して痛みを発生させます。むち打ち症の怖い所は、無症状の期間がある事です。「症状を感じていない」という人ほど突然ドカンと症状が出ることがあるのです。認めたくはないでしょうが、10年20年...と一緒にお付き合いした首や肩は、結構疲れているのです。

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