症例報告
症例報告
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脳の誤認と自律神経症状が関わる左股関節の痛み・両足の痺れ

主訴

左股関節の痛み。
長年の症状である。
ひどい時は常時痛みがあり、それに伴い痺れも強く歩行が困難になる。
初めの頃は膝下辺りの痺れが目立っていたが、それが軽くなると同時に各部位に痛みと痺れが出てきてしまった。
整形外科や接骨院など、過去に様々な治療を受けたが全く改善がない。
転院が多く、改善も診られないため、気分的にも大分落ち込んでいる。
ホームページを見てご来院してくれました。

視診・触診

視診では腰椎の前腕が強く診られました。
触診では中殿筋に目立つ筋硬結が診られました。

治療

中殿筋・前脛骨筋。

1回目:ダルさが2日続く。
3回目:改善は無いが、治療後の心地の良いダルさが続く。今までの治療よりは変化が出ているので希望が出る。
5回目:痛みに変化が出る。10→7
10回目:自覚症状が半分になる。7→5
11回目~15回目:自覚症状が5のまま、変化が無くなる。

治療内容の変更

症状の変化が無い原因は、長年「股関節が痛い・足が痺れる」という自覚症状に悩んでいた事による脳の誤認の可能性と、自律神経の乱れによる痛覚過敏状態にあると判断し、股関節の治療はそのまま継続しながら頚部のコリを除去し、自律神経機能を整える方向に変更しました。

16回目:首の治療を始めて早々、股関節や足の痺れ感の自覚症状に変化が出る。5→3
18回目:日常生活は特に症状に気にすることなく送れるようになる。3→2

その後数回の治療で症状は消えたようです。

まとめ

脳の誤認と自律神経

慢性疼痛を治療する過程で必ず「脳の誤認と自律神経」の関係性を理解する必要があります。
詳しくはまた書きますが、例えば同じ症状が2年〜3年と続いたらどうでしょうか。
もちろん脳では「私はココが痛いんだ」とインプットされます。
毎日顔を洗う時に腰が痛いというのと同じように、「顔を洗うと腰が痛いんだ」と脳は誤認を起こします。
しかしながら全て脳の責任にしてはいけません。
実際に腰が悪いという事実はあるでしょう。

脳の誤認以外にも、腰にあるトリガーポイントを活性化させている要因の一つが自律神経の乱れという可能性もあります。
自律神経が乱れると痛覚を過敏に感じる事もあります。
5で済んでいる痛みを10にも20にも感じさせてしまうのが自律神経の乱れです。

自律神経の乱れを起こしている要因の多くは首の隠れたトリガーポイントです。

臨床の現場では、残り3割の症状というのが最も治すのが難しいのです。

残り3割の症状根治の為には、今回のケースの様に、脳の誤認と自律神経の関係性を考えながら、治療を行う必要があります。
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