症例報告
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潰瘍性大腸炎の鍼治療

<潰瘍性大腸炎とは?>
日本の潰瘍性大腸炎の患者数は133,543人(平成23年度特定疾患医療受給者証交付件数より)人口10万人あたり100人程度であり、米国の半分以下です。
潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患です。特徴的な症状としては、下血を伴うまたは伴わない下痢とよく起こる腹痛です。病変は直腸から連続的に、そして上行性(口側)に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります。
発症年齢のピークは男性で20~24歳、女性では25~29歳にみられますが、若年者から高齢者まで発症します。男女比は1:1で性別に差はありません。喫煙をする人はしない人と比べて発病しにくいと言われています。
腸内細菌の関与や本来は外敵から身を守る免疫機構が正常に機能しない自己免疫反応の異常、あるいは食生活の変化の関与などが考えられていますが、まだ原因は不明です。

主訴

潰瘍性大腸炎。診断されて3,4年が経過している。
1日に15回~25回位トイレに行く。夜中も行くために睡眠不足での悪循環が続いている。
1年前にカメラ検査を行い、中等度のレベルと診断された。
トイレの回数も多い為、痔にも悩まされている。
自律神経も乱れており、悪循環が続いている。
薬は飲み続けているが、改善の傾向が診られない為鍼治療を行いたい、、という事でご来院されました。

視診・触診

視診では特に問題は診られなかった。
触診では大殿筋・中殿筋に過緊張が診られた。首の筋緊張も強かった。

治療

首:首コリを治療する事による自律神経機能の調整を行いました。
腰部・殿部:骨盤内の血流改善の為、大殿筋・中殿筋・多裂筋に対して集中的に治療を行いました。

5回目:トイレの回数が少し減った様な気がする。
10回目:大腸炎の調子が悪い事もあるが、首の治療を行う事により仕事をしていてもストレスなどが溜まりにくくなった気がする。
15回目:お腹の調子が大分良い。痔も少し楽になる。
20回目:時々調子が悪い事もあるが、明らかに初回診療時より体調が良い。
30回目:お腹の調子が良い状態が続いている。トイレの回数も減り、身体が楽になる。

自覚症状が初回診療時の辛さを10とすると、2位まで軽減する。

まとめ

潰瘍性大腸炎の鍼治療

潰瘍性大腸炎は厚生労働省の特定疾患に分類される難病です。
原因も不明であり、根治は難しいでしょう

当院にも多くの潰瘍性大腸炎の患者様がご来院しております。
首の細かいトリガーポイント治療による自律神経機能の改善や、殿部のトリガーポイント治療による骨盤内の血流改善により症状の緩和が診られる患者様は少なくありません。
直接的なアプローチではありませんが、自然療法により症状緩和が見込まれるというのはQOL向上の為の選択肢の一つと考えても良いかと思います。
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