症例報告
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ふくらはぎの肉離れ、早期復帰と完全回復を目指して

主訴:なかなか完全回復しないふくらはぎの肉離れ

問診

約2週間前のバレエレッスン中にふくらはぎを受傷。
何度か同じ場所を肉離れしている。
数日間セルフケアを続けていたが張り感が完全に取れず動作時痛も出てくる。念の為整形外科を受診。
整形外科では軽い肉離れと診断され湿布やサポーター、電気治療にて毎日治療している。
おかげで現在はだいぶ良くなったが完全ではなく、つま先立ちをしたり少し負荷をかけると痛む。
レッスンも怖くてできない。
月末に講演会があり事前のレッスン期間も含めてとにかく間に合うように早期に治したい。

視診、触診

右腓腹筋内側、筋腱移行部付近に肉離れ後の筋硬結が触察できる。
足関節の浮腫み左右差あり。(右〉左)
両側の腰臀部〜右ハムストリングス群の筋緊張が診られる。

治療

寸6−3番にて患部を集中的にしつつ、緊張が診られる臀部やハムストリングス群も同時に治療していきました。
鍼治療は経験があり、響きなどのある程度の刺激は受け慣れているとのことで初回から患部を集中的に治療していきました。

1回目…治療直後から足の軽さを実感。サポーター無しでも歩けた。
2回目…まだ軽い痛みや違和感、張り感はある。肉離れの箇所の筋硬結が小さくなっている。
3回目…足を使わないレッスンをしたが疲れ残るものの思ったより動けた。
筋硬結がさらに小さくなる。
5回目…足を使ったレッスンも無事にできた。レッスン後の疲れは健在だが状態は良好。
6回目…日常生活もレッスンも気にはするが普段通り過ごせるようになった。

当院にご来院される前に整形などで適切な処置を受けられていた事もあり、初回で変化が見られ4回目くらいで肉離れの痛みや違和感、動作時痛は改善しました。
肉離れにより長期間運動を休んでいた為、筋力の低下や運動後の疲労感を強く感じる期間がありましたが次第に回復したとの事です。

今回の様に肉離れ後の筋硬結が残っているといずれ再発する可能性が高まってしまいます。
きちんと取り除き十分な柔軟性のある筋肉に回復させる事が重要です。

まとめ

肉離れとは
正式には筋挫傷といいます。
肉離れ(筋挫傷)はスポーツ障害の中でも起こりやすい疾患のひとつで、スポーツをする中で急に無理な動作をしたり疲れが溜まっている中での運動をした際に筋膜や筋繊維の損傷、断裂を引き起こします。
急なダッシュやジャンプからの着地、急な方向転換もなりやすい動作の1つです。
筋肉の疲労、加齢、ウォーミングアップ不足なども肉離れを起こす要因の一つになりますので日頃からストレッチや直接的な治療などのケアをしておくことで予防に繋がります。
受傷直後の応急処置はその後の回復に大きく関わる重要な初期対処です。
肉離れの応急処置は主にRICE処置が基本となります。

R(rest)…安静
I(ice)…アイシング
C(compression)…圧迫
E(erevation)…挙上

肉離れの損傷度↓
I度損傷(軽度)…筋線維の損傷は見られないが筋細胞の微細な損傷あり。損傷部に不快感や違和感がある。
II度損傷(中等度)…筋腱移行部に好発。筋線維の部分断裂。腫れや圧痛が診られる。損傷部に陥凹が診られることもある。
III度損傷(重度)…筋線維の完全断裂。損傷部に陥凹がや皮下出血が診られる。

いずれも損傷部位は修復していく過程でかさぶたのようになっていくため硬結化しています。よって周囲の血液循環はかなり悪くなっています。
鍼で損傷部位や周囲の筋肉に外科的な刺激を入れることにより、血液の循環改善と身体の修復機能を促します。
患部への直接的なアプローチは、通常よりも早期に改善させる事が出来ます。予後も良く、復帰も早くなるでしょう。
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