症例報告
症例報告
image image

~『味とにおいを感じない…』風邪を引いた後の味覚障害と嗅覚障害~

主訴

風邪を引いた後の味覚障害と嗅覚障害

問診

5日前からの症状である。
症状が出る数日前に風邪を引いてしまったそうです。

熱はそんなに高くなかったのですが、鼻水や鼻詰まり、喉の違和感など、喉と鼻の症状が酷かった。

徐々に風邪の症状も回復してきて鼻水や鼻詰まりなども治ってきた時、『嗅覚がない』…と気付いたそうです。

芳香剤やコーヒーなど強い匂いを鼻のすぐそばで嗅ぐと微かに感じる程度。
今まで日常生活で感じていた匂いはほぼ分からない状態に…。

また、味覚も鈍く以前に比べて3〜4割程度しか味がしない。

耳鼻科に行ってコロナなどの検査も受けたが、陰性だった。

病院で薬を処方され数日服用していたものの、全く変化がなかったそうです。

元々、首肩凝りの自覚症状はなく、『なぜこのような症状が出てしまっているのか?』をググって探していた。

様々な治療法を探す中で、国立おざわの症例に同じような症状の方がいたこともあり、ご相談がありました。

視診・触診

視診
特に異常なし。

触診
頚部の過緊張が強い。
後頭下縁の筋付着部の圧痛がみられる。
首から背部にかけて交感神経緊張の状態でみられる皮脂過多も確認できる。

治療部位

①頭半棘筋
②僧帽筋
③頭板状筋
④肩甲挙筋
⑤胸鎖乳突筋
⑥内・外側翼突筋

治療経過

1回目
術後、首の重怠さが残る。

2回目
前回後、味覚は少し改善がみられた。
嗅覚はまだ変化なし。

3回目
味覚は9割回復。
嗅覚も10→4〜5割程度改善がみられる。

4回目
味覚はほぼ改善。
嗅覚も多少波があるものの残り2割まで回復してきた。

5回目
平行線。
以前より身体全体の調子は上がった。

7回目
空間の香りが分かるようになってきた。
味覚は調子が良いが、嗅覚は残り2割のまま。

10回目
調子が良い。
以前と分からない程度まで回復する。

初診時の自覚症状は完治した。

まとめ

嗅覚障害と味覚障害について


人間の五感の内、最も大事なものは嗅覚だと言われています。

コロナが流行した時に『コロナ罹患後に嗅覚障害・味覚障害が起こる』と話題になりました。
しかし、コロナではなくても風邪を引いた後に嗅覚障害や味覚障害が起こることはあります。

そもそも『風邪』というのは自律神経に作用するものであり、発熱も自律神経、関節が痛くなったりするのも関節内の滑膜に自律神経が分布しているから関節痛という症状が起こります。

『嗅覚障害と味覚障害がなぜ起こるのか?』と聞かれると原因不明です。

ただ、嗅覚障害と味覚障害が起こる患者のほとんどは①食いしばりがある(咀嚼筋トリガーポイントがある)②首コリがある(特に凝りに無自覚な人が多い)③睡眠不足(ショートスリーパーも含む)という特徴があります。

今まで多くの嗅覚味覚障害患者を診ましたが、ほとんどの方が該当していた為、科学的根拠は無いけどそうではないかという仮説が生まれます。
実際に咀嚼筋トリガーポイントと頚部浮腫の治療を数回行う事により改善が認められます。

1年間嗅覚味覚障害がある…という方にも施術したことがあるのですが、これも複数回の治療で改善しています。
image