症例報告
症例報告
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椎間板ヘルニア

主訴

腰の痛みと足の重たさ。
去年の夏から、病院では椎間板ヘルニアと診断されている。
セカンドオピニオンにも行き、2つの病院でそう診断された。(レントゲン検査のみ)
痺れの自覚はない。
8月はあまりにも激痛で寝たきりの状態だった。
2ヶ月ほど寝たきりで過ごす。
薬は一つ目の病院でもらったけど飲んでも効かなかった。
現在も腰が曲がらない状態である。
座った状態から立ち上がるのがつらい。

視診・触診

視診では腰が曲がっている状態で少しだけ足を引きずる様な歩行でした。
触診では殿部及び腰部下部に圧痛が診られました。

治療部位

腰部多裂筋(仙骨上部)
中殿筋(腸骨稜付着部)

治療結果

3回~6回程度の治療で半年間悩んだ痛みが完全に消失しました。

まとめ

椎間板ヘルニアという診断は正しかったのか

今回のケースでは問診の段階で2つの病院でレントゲン検査しか行っていないにもかかわらず「椎間板ヘルニア」と診断されている事に驚きました。
なぜならば椎間板ヘルニアの病態はレントゲンでは写らないからです。
全ての病院がそうではありませんが、最近はその様なお話を初診の患者様から聞くことも少なくありません。
しかも自覚的な痺れ症状及び知覚鈍麻帯・麻痺などがが無いにも関わらずレントゲン検査のみでそう診断されていました。
もし私が今回の症例の患者様の家族ならば「なぜレントゲン検査のみでその様な診断が出るのか」という事を聞きに行くでしょう。
中にはMRIでしっかりと「椎間板ヘルニア」と診断される事ももちろんあります。
その様な患者様でも、「そのヘルニアが今回の痛みを出しているのか?」という疑問を抱いてご相談に来られる事も少なくありません。
少しずつ、画像診断による現在の痛みの関連性の可能性を患者様が学んできているのです。

しかし半年近く痛みに苦しんでいた時間を考えますと、もっと鍼治療の認知を広める必要があると鍼師として反省します。
今回の症例では姿勢や筋肉の状態を確認した結果、明らかに腰部多裂筋と中殿筋のトリガーポイントが原因による一連の症状と判断して治療を行いました。
そこは触診および鍼による手の感覚で解ります。

いわゆるMPS(筋筋膜性疼痛症候群)などでは筋肉のトリガーポイントにより椎間板ヘルニアに似た症状や座骨神経痛に似た様な症状を出す事があります。
西洋医学では「神経が原因である」という事でその様な対処法を行いますが、MPSによる症状では薬では全く改善しない、もしくは一時的な症状緩和しか認められません。

暖かい時期になりますと、今まで固まっていた筋肉などが動き、隠れていたトリガーポイントが活性化して沢山の症状が出てきます。
この時期はギックリ腰なども非常に多いです。痺れの症状も増えます。

我々鍼師が鍼治療の認知を広めるのはもちろんの事。
率直に申し上げて恐縮ですが、患者様ご自身が自分の身体の治し方について深く学ぶ時代がやってきたと私は思っています。
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