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『首コリ治療が日本を救う』

トピックス『首コリ治療が日本を救う』
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第1章:鍼治療 VS. コリ

コリとは一体何なのか?

 一般的にはコリといえば、ゴリゴリしたもの、固まっているものという考え方でしょう。コリは、レントゲンにもMRIにも映りません。ですから、本人が凝っていると感じるか、施術者がマッサージをして凝っている部分を探す他ありません。
 ところが、本人が凝っていると感じる部分が本当の症状を出している原因とも限らないのが、治療の難しいところです。

 トリガーポイント(TP)<※以下TP>という言葉を聞いたことがあるでしょうか? いわゆる“引き金点”という意味です。TPは痛覚過敏部位であり、骨格筋や腱、骨膜など様々な部分に出現します。 特に異構造接合部といい、筋肉から腱に変わる所(例えばふくらはぎの筋肉がアキレス腱に変わる所)や腱が骨膜に付着する所にTPが形成されやすくなります。
 いわゆる痛み(痛覚)を感じている所には必ず責任TPが存在します。そして責任TPに鍼が当たると、患者様自身が『そこが悪い所である』という認知覚を感じます。この認知覚こそが、痛みの根本治癒に最も有効な治療となるのです。

 例えば五十肩ではよく肩の前に痛みが出ることがあるのですが、実際は棘下筋という肩甲骨の後面に付着する筋肉のTPが原因で肩前面に関連痛が出ることがあります。 顎が痛いという場合でも、いわゆる咀嚼筋という筋肉のTPが原因で顎に痛みが出る事もあります。頭痛は首のTPが原因で起こる関連痛です。
 高齢者に多い変形性膝関節症を例に取ってみましょう。
 医学的所見では変形性膝関節症と診断されました。しかしながら、筋肉を触診し調べると責任トリガーポイントが存在し、その部位を治療することにより完全に鎮痛が得られました。
 これの意味するところは『医学的所見で確認された膝関節内部の変形は、疼痛とは全く関係がなかった』ということになります。
 膝関節内部の痛みと疼痛の関係性が無いにも係らず、膝関節内部の治療を行う→膝の慢性的な痛みにつながっていたのです。

 この様に臨床の現場では、患者様がココが痛いと訴える場所とは異なる部位が痛みの原因である事が多く、後述の響きの鍼治療(響鍼治療)にて、ズーンと響く部位(TP)と、ズーンと響きながら患者様が『そこが悪いところだ』…という認知覚を感じる部位(責任TP)を聞きながら治療していかなくてはなりません。
 画像にも写らない目に見えないコリの治療は、これほどに考えて行わなければならないのです。コリを見つける技術が問われる時代なのです。
 慢性疼痛や不定愁訴の患者様が現代に溢れるように増えているのは、真の原因であるコリから出現する関連痛を無視し、痛いといった場所に湿布を貼り、痛いといった場所に注射を打つような安易な治療を行ってきた代償と言えるでしょう。

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