国立おざわ鍼灸・整骨院 院長 小沢国寛著書、首コリ治療が日本を救う

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第1章:鍼治療 vs. コリ

2:認知覚とトリガーポイント

 前述の認知覚とトリガーポイントについて、もっと詳しく説明しましょう。

脳は知覚にいい加減

 脳は痛みに対していい加減なところがあります。例えば夜、暗闇で蚊に刺された時に痒い所がなんとなくしかわからなかったり、虫歯の場所を間違えたり、背中に出来た出来物の位置がはっきりしなかったり…。
 そもそも感覚というのは、注意を向けた対象の明確な形や像を脳に与えるものです。しかしながら脳は『視覚を伴わない(目には見えない)痛みや痒みに対して、刺激の発生源の大きさを過大に感じてしまう』のです。
 皮膚の下(深部)には「発痛した所とは違う所に痛みを感じる仕組み」があるのです。
 この事実というのは、西洋医学が主体である日本においてはあまり共有されておらず、多くの人は知覚に対して勘違いをしていることになります。
 見て触って、『ココが痛い場所だ』と認知する事により、初めてココが悪い場所だと感じることが出来ます。寝ている時に蚊に刺された時を思い出してみて下さい。
 何か足が痒いなぁ…と思って何となく足を掻きます。
しかしながら一発で刺された場所を指で探る事は出来ません。
大きな範囲を指で探します。
そして痒い所に指が当たった時に…!
「ココだ!ココが痒い場所だ!!」と脳が感じます。
脳とは大きな範囲で痛みを認知しているのです。
そしてそこに指が当たった時に、ここだ!と思うのです。これが認知覚です。

痛い場所を触診して探す

 例えば肘が痛いと感じたらどうするでしょうか。やはり肘を押したり揉んでみる事により『ココが悪い場所だ』と実感します。痛いと感じた時は大きな範囲で『肘が痛い』と感じており、押したり揉んだりする事により『肘のココが痛い』という痛みの認知が起こります。しかし筋肉の走行は複雑であり、トリガーポイントの触り方に慣れていない一般の人はポイントの発見には至りません。
指が届く部位であればこの様に調べることが出来ますが、指が届かない部位の場合、鍼治療でポイントを見つける必要性があるのです。
 そしてそのポイントに鍼が当たれば『そこだ!そこが悪い場所だ!』と感じるのです。
 その感覚、『認知覚』が重要なのです。

『どこが痛いですか?』ではなく、『痛い所はそこではないかもしれない』と考える。

 現代の西洋医学では『どこが痛いですか?』と聞きます。
 『痛い場所=病変部』である。『疼痛領域=侵害領域に重なる』と適応してしまっているのです。
 ここが現代医療の、慢性疼痛に対する誤った考え方と言えるでしょう。
 ココが痛いといって、その場所に電気を当ててもマッサージをしても、根本的な解決になりません。『痛い所はどこだ?』というところから考えなおさなくてはならないのです。
 ところが深部に原因が潜んでいる慢性疼痛を治したい場合には『どこが痛いですか?』という問診は通用しなくなるのです。
 治療者は『痛みを感じている場所は、病変部(悪い所)ではないかもしれない』というところから考えを出発しなくては、慢性疼痛を治せないのです。

トリガーポイントが出来やすい部位

①神経が分布する所(筋膜・腱・骨膜・靭帯・関節包など)
②刺激が反復される所(筋肉と骨の付着部・腱と骨の付着部など)

治療院により違いはありますが、私の治療院では責任TPに鍼を打った後、10分~15分ほど置鍼(鍼を置くこと)を行います。鍼を打った後に時間を置くことにより浮腫んだ筋肉は退縮し、関連痛が起こっている部位周辺の筋肉が弛緩します。